森に住む | 金子清美のインスタレーション
生命の燃焼 …
そして、それと裏腹に
どこかさみしさが
セットになった 夏 …
もうすぐ 夏である …
比企の国際野外の表現展で
金子清美さんが、《 森に住む 》 というインスタレーション
を行ったことがある。
なんとも、夏という季節が生きたインスタレーションで
それは、日常の生活と感覚、夏の外向的気分といった
諸相が、ごくごく自然に重なり合いながら
アートの異化作用が味わい深く響いた
女性作家ならではのすてきな 《 生活 → アート表現 》
であった。
【インスタレーションの動画】
□ Windows →
live in woods, 2007 Installation by Kiyomi Kaneko ©2007 Ryutocu Hata
□ 携帯電話・Mac →
live in woods, 2007 Installation by Kiyomi Kaneko ©2007 Ryutocu Hata
場所は、住宅地に隣接する谷合いの公園の 森の中 …
中心の白いテーブル ( かつて私がデザインしたもの ) は
金子さんが自宅で実際に使ってこられた 《 生活の中の家具 》。
そのテーブルの上に、日常の生活で身近にあるものの中から
作家が独自の感覚でチョイスしたモノたちが並べられている。
それらは、いつもの日常空間から離され
公園の中の白いテーブルの上 ―― という特別の時空に
移行させられることで、
機能するものとしてのイメージの卑近性が薄らぎ
純粋に物質的存在としての 《 形の美しさ 》 が
立ち表われてくる …
周辺には、作家が愛猫に与えているキャットフードの空き缶を
白く塗ったものや、現場で採集した木の実を入れた瓶などが
あたかも以前から置き去りにされたふうに
堆積する枯葉のうえに点々と配されて
ふだん目にするふつうのモノたちが
ここでは、なんとも言いがたい響きをつたえてくる …
作家が生活の中で使用したり接しているモノたちには
他者には知ることのできない 作家の思いや情感が
ともなっているであろう。
そこには、作家の美意識も当然ながら混然と関わっていて
そうした背景の中から、外在表現としてのインスタレーションが
生まれてくる。
そして、その外在として独立した表現作品を
観者は観者で、勝手なしかたで感じている …
でも、作家の世界と観者の世界は、大きく あるは 微妙に
異なるからこそ 《 共振のよろこび 》 が生成してくる、とも言え
そこには、同質とか異質とか 簡単なことばには還元できない
微妙な関係が存在しているといえよう …
夏という季節が、人をして、ある気分に導いている …
屋外でのインスタレーションは、そういう季節のムードが
人間同士を近づける契機として生かされて
より深い響きをかもしうる可能性をもつ。
*ビデオ撮影・編集:筆者
金子さんのwebsite → http://www.kiyomi-k.info/
2013年5月21日